その昔「Off the hook」っていう単語が米国のハッカー界隈で流行っていたんだね。この「Off the hook」は、「電話の受話器を上げろ」っていう意味がリアルな意味です。PCやインターネットがこんなに一般的になる前は「電話ハッカー」ってのがいて、Appleの創業者もハマったらしいんだが(自分で自慢話をしていたりする)、要するに電話を取ってある周波数の音を出すと、電話の交換機が勝手に動き出し、無料で海外通話ができた。もちろん、今の電話交換機ではそういうことはできないんだが、当時はできた。今はSkypeみたいに、無料かそれに近いIP電話があるから、そんなことをやる意味もなくなったんだけどね。
そういうわけで、このBLOGのタイトルを考えるとき、今も生きている米国のIT業界の元祖ハッカーに敬意を表して、というほどでもないが、それを意識して、名前の「hook」を「hack」に変えてシャレてみた。「Off the Hack(ハッキング行為はやめて成長せいよ)」という名前にしたんだな。
実際、米国や日本の30年前のITという言葉ができる前の「ハッカー」は、これらのハッキング雑誌も含めた、自由なITの環境で成長したと言っていい。だから、有名なセキュリティの専門家も、生まれている。前述したように、PC以前の時代に技術者であったAppleの創業者の一人「Steve Gary Wozniak(スティーブ・ウォズニアック)」も、初代Appleの製品ラインを作ったわけだが、それ以前はただの面白がりの電子技術者だったわけだ。彼らは2600Hzの音を出す、シリアルのケロッグのおまけの「笛」を使っていたのだが、しばらくすると、正確に2600Hzの音を出す発振器をウォズニアックが作って、それをSteve Jobsが学生たちに売って歩き、Apple社の元になる最初の資金を作った。その箱が青い箱だったため、その発振器を「Blue Box」と呼び、二人のSteveは大儲けしたのだった。
つまり、米国の元祖ハッカーやそれを知っている人は、このBLOGの表題の「Off the Hack」には、少し反応はするだろう、という、そんなつもりで、この表題にしたのだ。
Steve JobsもWozniakもぼくは会ったことはないが、ぼくは日本で同時代の少し後の時代を生きた。「Off the Hack」の意味、実はそういうことです。