これは一つの例だが、逗子市の「廃棄電池回収」は、気をつける必要があるが、どこの自治体もこれは同じだろう。よくページを読んで見ると、特に気をつけなければならないのは、

(1)マンガン乾電池、アルカリ乾電池、モバイルバッテリー
(2)ボタン電池

「廃棄先が違う」ということだ、ということがわかる。(1)は「一般社団法人JBRC」が回収先、(2)は「一般社団法人電池工業会」が回収先になる。ちなみに、ボタン電池にも「マンガン」「アルカリ」「Ni-Cd」「Ni-MH」もある(酸化銀など、他の構造のものもある)。普通はどちらにしたらいいかを「電池の形態」で選ぶことになるのだろう、と「想像する」しかない。回収した後の、ボタン電池の電池種類の選別(リサイクルに必要)が大変だろうなぁ、と思うしかない。

電池が交換可能なPCの電池はどうなのか?スマートフォンから分解して取り出した電池のみの廃棄先はどこなのか?など、まるで不明なうえ、ボタン電池のみが「自治体では回収できない」という。これは機器を販売するメーカー回収だろうが、既にメーカーが消滅していたり、あるいは、外国企業で日本支社がなくなっていたり、という「日本国内に廃棄先がない」場合はどうするのか?もちゃんと説明が必要だ。

回収している団体があれこれ違うからなのだが、こういうややこしい電池の分別は、高齢者には無理だろう。本来であれば、自治体で「廃棄電池」は一括して回収し、それを定期的に自治体の責任で振り分けし、どの団体に送るかを行うのが良いとは個人的には思うのだが、おそらく、自治体も職員は増やせず、非正規職員への支払いも新たに起こせない、あるいは十分な対価が払えないので、募集しても人がこない(人手不足)、という「八方ふさがり」の状況なんだろうね。もちろん、急激に発展するITの世界のスピードに、自治体の中の人の認識も、追いつかない、ということはあるだろう。であれば、そのうち、問題が表面化することは出てくるに違いない。

結果として「ボタン電池くらいなら」と、駅のホームの燃えないゴミ箱とかに捨てたり(鉄道会社がいい迷惑)、あるいは「金属だし」と、金属缶捨場に捨てたり(これが一番危ない。発火とか爆発もありえる)、さらには、川などに廃棄したり。そういうことが実際に起きていると、私は想像できる。そうであれば、環境破壊そのものだ。

しかも、電池などの廃棄物を「燃えるゴミ」にした場合は、既に廃棄炉の中で電池が爆発するなどの事故で、職員が怪我をするようなことも報告されている。この問題は目の前にある問題なのだ。

情報化社会は電気で動いていて、特にこれからは「千円もしない、安価なものでも、電池内蔵IoT機器」が増え、既にスマホのほとんどは電池を取り外すことができないうえ、PCもそうだし、PCの周辺機器のスピーカーなどもアンプ用の充電式電池内蔵で、ユーザーは取り出すことができないものもある。今や、家庭で電池ごとIT機器を廃棄する時代に入っている。PCもタブレットも同じだ。スマートウォッチが流行っているが、これも電池は内蔵で、ユーザーが取り出せない構造になっている。これらの機器は、電池が2年くらいして、十分な容量を持てなくなったら、機器ごと廃棄するのが、現在のIT製品だ。

こういう時代の変化に素早く合わせて、行政も電池廃棄やリサイクルを請け負う団体も統廃合や扱い品目の増減などがタイムリーに行われるべきだが、そういうスピードは今の行政には、私の経験上、期待できない感じがする。

特に、これからは、日本は高齢化社会に入り、日本の経済衰退の時代に入ったため、「家庭用IT機器の中古品市場」がかなり元気に立ち上がっているのだが、そうなると、「中古品」は買って実用にするためには、電池の交換が当たり前になるわけで。物によるのだが、業者に頼むと内蔵の充電式電池交換は数万円かかるが、Amazonでは交換用の電池を機器ごとに売っており、これを買って自分で分解して電池交換すると、数千円で済む。交換の方法なども、詳細にYouTubeの動画などで紹介されている(もちろん、機器の保証は切れるが、使えれば文句がないのが利用者というものだ)。そういう時代なのだ。

自治体や国の政府は、この発展と衰退の変化の構造を、すぐには反映できず、結果として、大きな事故を起こす可能性もかなり高まっている。市民意識の向上程度では、どうしようもないところまで来ているのが、実情だろう。広く、公開での議論も必要になるだろう。